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立ち上がり体勢を立て直した凍夜は、アーツに向け刀を構えた。
「――ちょ、凍夜くん!」
『俺はキリさんと約束したんだ……。貴女は必ず守る!』
【炎浄】発動。
紫が混じった静かな炎が、薄く全身を包み込む。
あれは強力な肉体強化と引き換えに、体力が半分以下になるスキル。
本気だ……。
結月に向いていた弓が、凍夜へとターゲットを変えた。
仲間同士で戦(や)りあうのか。
「ダメ、絶対ダメよ。そんなことしたらルークの思うツボじゃない」
【乱れ撃ち】発動。
至近距離から次々と矢を撃ち始めた緑色の弓使い。
刀で打ち落としながら凍夜はアーツへと接近。
『――ぐっ、』
左肩に矢が刺さっても凍夜はさらに間合いを詰め、斬り込んだ。
――ガキィィィィン!
長尺の日本刀を器用にも弓で受けたアーツ。
激しく打ち合う刀と弓。
接近戦では、足を負傷していても凍夜に分があった。
距離を取ろうとするアーツに、間合いを詰め続け攻撃している。
「だったら、弓を! 弓を破壊してっ!」
悲痛な声を挙げた結月も、神剣を振りかざし戦闘に加わった。
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