620人が本棚に入れています
本棚に追加
チラッと雷斗さんに目を向けると、右腕と額から血を流していた。
こっちもまずいぞ。
『愉快です。絶望しか残っていない状況を受け入れられず、必死にもがく人間の姿。影山様の気持ちがよくわかります』
ルークは離れた場所で浮き上がり楽しそうに観戦していた。
あいつ、ふざけやがって……。
『――危ないっ』
叫んだ凍夜に視線を移すと、弓を逆さに持ち替えていたアーツに、結月が足を払われていた。
どうしたんだ。
『アーツ! お前っ!』
怒りに任せ凍夜は長い刀を右上段から打ち下ろす。
その斬撃をアーツは弦(つる)で受けつつ、弓を捻り力を受け流した。
前方へと体勢を崩した凍夜の顔面に肘打ちが。
吹き飛ばされ、横たわる結月と凍夜。
後退したアーツは二人に向け弓を構えた。
一瞬にして黒いオーラが集まっていく。
これって、さっきの……
【愛染明王】発動。
――やばいだろっ!
最初のコメントを投稿しよう!