最終の間

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チラッと雷斗さんに目を向けると、右腕と額から血を流していた。 こっちもまずいぞ。 『愉快です。絶望しか残っていない状況を受け入れられず、必死にもがく人間の姿。影山様の気持ちがよくわかります』 ルークは離れた場所で浮き上がり楽しそうに観戦していた。 あいつ、ふざけやがって……。 『――危ないっ』 叫んだ凍夜に視線を移すと、弓を逆さに持ち替えていたアーツに、結月が足を払われていた。 どうしたんだ。 『アーツ! お前っ!』 怒りに任せ凍夜は長い刀を右上段から打ち下ろす。 その斬撃をアーツは弦(つる)で受けつつ、弓を捻り力を受け流した。 前方へと体勢を崩した凍夜の顔面に肘打ちが。 吹き飛ばされ、横たわる結月と凍夜。 後退したアーツは二人に向け弓を構えた。 一瞬にして黒いオーラが集まっていく。 これって、さっきの…… 【愛染明王】発動。 ――やばいだろっ!
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