最終の間

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『簡単ですよ。 緑系のオーラを纏って呪われたフリをしていただけです。 凍夜さんには、敵を欺(あざむ)くためとはいえ、申し訳ないことをしました』 「――だと、思ったぜ」 嘘だ。あの動揺した姿からして絶対に雷斗さん気が付いていなかったよな。 オーラを消したアーツだが、その眼までが緑色に変色していた。 結月さんは、上位回復系スキルで凍夜の足と肩を治療している。 『さぁ、凍夜さん早く私を転位させて下さい。残念ながら残り数分で狂戦士になってしまいます』 俯(うつむ)いたままのルーク。 『初めてです……ここまで追い詰められた世界は。認めましょう』 顔を上げたルークの左手には、アイテムが握られていた。 「まずいわっ! 何かしてくる」 持っていたのはベル。 ルークがそのベルを押すとリーンとした音色が鳴り出した。 『このベルは一度鳴らすと数分……』 喋り出したルークの背後から、何かが左手に飛び込んだ。 パキーンとした渇いた音。 掲げていたベルは矢に射抜かれ、地面へと転がった。 『空中に一本だけ残しておいたんですよ』 最初にホーミングで操作していた矢が残っていたんだ。 想像を超えたアーツの策に感動でオレの体は震えている。 この人……凄い。
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