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魔法陣のオーラが晴れていくにつれ、楽しそうに笑うルークの姿が現れた。
『準備はいいですか? まだ職業候補にすら上がっていない、レア度★5の職業です』
魔法陣の中央に立っているのは、全身に白い鎧を装備したナイト。
手にしているのは大型のソード。分厚い刀身には白い見た目とは逆に、暗黒の炎が灯っていた。
あれって……デスナイトじゃないのか。
柚葉の職業候補で出た最強の剣士。哲二がギルドで検索していた画像と同じだ。
対打撃戦では、まず負けることはない。
そう、書いてあった。
全員がその強さのレベルに気が付いている。雷斗さんですら、うかつには動かない。
高笑いをしながらルークが口を開く。
『これは、完成版のデスナイト。
――声が出ませんか?
やっと"絶望"が現実的になってきたようですね。口で言ってもわからない貴方達には、体験してもらうのが一番です』
召喚したものへ最後のオーラを注ぐルークに、誰もが怒りの視線を向けている。
希望が見出だせない戦いが、これから始まる。
だが、
――その全てを見届けてやる。
オレは全てを"観る"覚悟で、ここまできたんだ
(――希望は捨てない! )
一度は揺らいだ心を否定するかのように、誰にも聞こえない声を出し、自分を奮い立たせた。
――ガチャッ。
後方から、ドアの開く音が。
『……何やら、
面白そうですね』
――シャークだ!
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