最終の間

19/20
前へ
/34ページ
次へ
魔法陣のオーラが晴れていくにつれ、楽しそうに笑うルークの姿が現れた。 『準備はいいですか? まだ職業候補にすら上がっていない、レア度★5の職業です』 魔法陣の中央に立っているのは、全身に白い鎧を装備したナイト。 手にしているのは大型のソード。分厚い刀身には白い見た目とは逆に、暗黒の炎が灯っていた。 あれって……デスナイトじゃないのか。 柚葉の職業候補で出た最強の剣士。哲二がギルドで検索していた画像と同じだ。 対打撃戦では、まず負けることはない。 そう、書いてあった。 全員がその強さのレベルに気が付いている。雷斗さんですら、うかつには動かない。 高笑いをしながらルークが口を開く。 『これは、完成版のデスナイト。 ――声が出ませんか? やっと"絶望"が現実的になってきたようですね。口で言ってもわからない貴方達には、体験してもらうのが一番です』 召喚したものへ最後のオーラを注ぐルークに、誰もが怒りの視線を向けている。 希望が見出だせない戦いが、これから始まる。 だが、 ――その全てを見届けてやる。 オレは全てを"観る"覚悟で、ここまできたんだ (――希望は捨てない! ) 一度は揺らいだ心を否定するかのように、誰にも聞こえない声を出し、自分を奮い立たせた。 ――ガチャッ。 後方から、ドアの開く音が。   『……何やら、       面白そうですね』 ――シャークだ!
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

620人が本棚に入れています
本棚に追加