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「結月、お前は手出すなよ!」
「…………。」
固い表情だった結月は、雷斗さんの背を見つめながら妖艶な笑みを浮かべている。
手に持つグラネルは、今までで一番強く輝いていた。
嫌な予感が込み上げてくる。
「こっからが本番だぜっ!」
走り込んだ雷斗さんは、大きく振りかぶって刀を打ち付けた。
軽々とかわすルーク。
勢い余って背を向けた雷斗さんだったが、その流れを利用し回し蹴りを放つ。
一瞬驚いた表情をみせたルークだが、機械の腕でそれを受け流した。
それでも雷斗さんは、さらにコマの様に回転し、刀での攻撃を繰り出す。
今度は上から下へ。
上下左右、刀と蹴り、肘打ちなどを含んだ変則的な攻撃に、ルークは対応しきれていない。
何度も連続でヒットする攻撃。
だが、ダメージはない。
『このスキルがある限り、貴方の力では……』
――ドカッ!!
地面に片手をつきながら逆立ちのようになり、下からルークの顎(あご)を蹴り上げた。
「うるせーな。ノッてきたんだから、騒ぐんじゃねーよ。ほら、こい!」
――同じだ。
オレの知っている三年後の雷斗さんと戦い方も、動きも、楽しむ姿さえも同じだ。
でも、どうして急にふっ切れたんだ。
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