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大量の血が地面に流れ出ている。
最初に口を開いたのはルーク。
『ま、まさか……お前、仲間ごと……』
地面に広がる赤黒い液体は、雷斗さんだけのもではなかった。
目を疑う光景が、オレの前には広がっている。
ルークの心臓には、青白いオーラの剣が刺さり、体を貫いていた。
「ほ、ほらな、き、希望が……ちゃんと、残ってたろ?」
――結月だ。
雷斗さんの背中越しに、ルークを刺したんだ。
完全に死角からの攻撃。
でも、いくらなんでも仲間ごと貫くなんて。
ルークは吐血しながらも、雷斗さんを睨みつける。
『わ、私が……死んだところで、ク、クリア……など、できな……い』
雷斗さんは、最初から死ぬつもりだったんだ。でも、結月はそんな作戦をなぜ引き受けたのか、理解できない。
雷斗さんの事を好きなんじゃないのか?
「ゆ、結月という……き、希望が……俺には……残っているんだ」
結月がグラネルを引き抜くと、ルークはドサッと地面へと倒れこんだ。
「ごめんね、雷斗。……痛かったよね」
倒れそうになった雷斗さんを、抱きしめるように支える結月。
「でもね、――違うの」
その表情は、なぜか微笑んでいた。
「――私が希望。
それは違うわ……」
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