最終の間

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少しづつ体力を削られていくホープのメンバー達。 そんな中、わずかなチャンスを見逃さなかった凍夜の袈裟(けさ)切りが、メディの上着を切り裂く。 そしてそのまま、刀を返さずに同じ軌道で振り上げた。 峰での攻撃かとおもいきや、刃紋が逆に変化。 ――あれも特殊剣か! これならいける。 女GMがレイピアを振り上げた為、がら空きになった胴体部分へと斬撃がヒットした。 ギィィィン―― 想像とは違った音が鳴り響く。 メディの左わき腹に喰い込んだはずの一撃は、弾き返されてしまった。 『この音は、スキル硬直か――』 凍夜が口にしたスキルをオレは知っている。 この世界で最初に戦ったプレイヤーの防御スキル。目で追える攻撃に対して急激に防御力が上がるものだ。 違ったとしても似たような系統のスキルだろう。 「凍夜くん、下がって!」 凍夜はメディの追撃を、上半身をのけ反らせ鼻先ギリギリで回避し、さらにバックステップ。入れ替わった結月のグラネルが首元に入る。 ――ドカッ!! まただ…… 吹き飛ばされたのは結月。 首への攻撃は防御スキルでガードされ、腹部へ正面から蹴り飛ばされたんだ。 三年前のレベルとはいえ、凍夜の攻撃をものともせず、グラネルの一撃まで耐えるなんて。 うずくまる結月に接近したメディは、表情も変えずにレイピアを振り上げた。 【炎剣】発動。 凍夜の足元から炎が立ち昇る。刀を構え大地を蹴り、救出に向かった。 『――ぐっ!』 短い悲鳴をあげながら転倒したのは凍夜だ。 ――どこから!? 凍夜の左ふくらはぎには、一本の矢が刺さっていた。 まさか……
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