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『――そんな情報、信じられるかよっ!』
俺にとっては好都合だった。
元々プレイヤーに流すつもりの情報だ。葉山に流せば十分広がるだろう。
「信じる、信じねぇはお前が決めろ。――じゃ、そういう事だ」
【土柱】発動。
十分に練り上げたオーラを一気に爆発させ、先程とは比べ物にならないほど高くまで、円柱状の柱を築き上げた。
もちろん、自分の足元に。
【ストレート・ガード】発動。
大楯を構えた団がスキルを発動し、柱に沿って追いかけてくる。
それじゃぁ、届かねぇよ。
迫りくる団の勢いが失われたその時、何かが飛び上がってきた。
【長月】発動。
長い得物を振り上げた男が接近してくる。
――葉山だ。
背中に乗って、踏み台にしやがったのか。
『まだ話は終わってねーぞ!』
時間がないってのに。
【メタル・レイン】発動。
茶色いオーラが金属の粉へと変わり地上へと降り注ぐ。
「金属粉が酸化すると、どうなるか知っているか?」
――バチ、バチバチッ!!
至る所で、小爆発が起こり、辺り一面が昼間のように明るくなった。
閃光と熱により、ガードせざるをえないだろ?
あと一歩の所で落ちていく葉山を覗き込むと、その顔には笑みが……。
ちっ、まだ何か策が……。
――ズドォォン!!
激しく揺れる土柱、その衝撃のリズムは次第に早く強くなり柱が傾き始めた。
――あ、あの小娘……。
下でパトリアシアが、柱を攻撃していやがるんだ。
だけど、倒した方向が悪かったな。
【土柱】発動。
倒れ横になりかけた柱から、さらに別の柱を伸ばし、崖の向こう側へと飛び移った。
崖の間は数十mはある。さすがに、この距離は飛び越えられねぇだろ。
崖の向こう側を確認すると、三人の人影が見える。
「おい、おっさん! 情報ありがとな。次、会った時にこの礼はするからよ」
『てめぇ、誰がおっさんだ。まだ三十二だっ!』
くそっ、とんだ奴に目を付けられちまったな。
まぁ、いい。俺は俺の自由を求めて好き勝手やるだけだ。
あいつらが、
進む為にな――
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