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人間疲れ過ぎると眠れない。
疲れだけではなく、興奮がさめていないのか――まったく、寝付けない。
体勢を変えると、視界には高いびきをかいている修司の姿が。
いい気なもんだ。
時の回想から帰還したオレは、皆に観てきたものをざっと話した。
受け継いだ"希望"は、伝えたけれど……。
はたして、本当に与えたのは希望だったのか。
ルークが突き付けた絶望を与えてしまっただけではないのか。
クリアアイテムは、この世界に存在しない。
恐らく、これは正しい事実。
「蓮、眠れないのか?」
修司の向こう側から哲二が声を掛けてきた。
「悪い、起こしちゃった?」
「違うよ。蓮の話しを頭の中で分析していただけ、どうした?」
部分的にだが、あれだけの情報を一気に伝えたんだ。回転の速い頭脳を哲二は総動員して分析していたのか。
「アイテム……どうしたら、いいんだろうな」
「やっぱり、それか。明日詳しく話そうと思っていたんだけれど、大丈夫だよ」
大丈夫――日常的に使われるこの言葉は、どこか無責任な気がしてあまり好きではない。
しかし、哲二が口にするとその意味合いが大きく違う。
気休めはよせとばかりにオレは、もう一度詳しく説明しようとした。
「ルークがゲーム外に……」
「僕はこの世界にあると思う。場所も恐らく……」
――な、何だって?
さすがにこれは哲二の意見だとしても、にわかには信じられない発言だ。
存在するどころか、場所まで予想がついている?
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