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亜麻色の髪が乱れる程激しい身振りを交えながら、美咲は怒鳴っていた。
「影山は何だっていうのよっ!」
なぜ、オレが美咲に問い詰められる形になっているんだ。
今は会議中。とはいっても朝食を取りながらで、オレ達五人しかいない。
「だから、シャークの数珠丸を折ったオレに興味が沸いて、不正は不問だって……」
美咲は整った顔を近づけ、前に出した指先をオレに向けた。
「そこじゃないわよ。柚葉が何で疑われているのかって聞いてるのっ!」
深夜のカルミナ村で、謎の人物から柚葉が何かを受け取った件はまだ伏せてある。
こういう事は、本人の口からいうべきだと思う。
当の本人は、呑気(のんき)に何段あるかわからないサンドウィッチを頬張っていた。
「もう一つ、気になったセリフがあるんだけどいいかな?」
ブラックコーヒーをすすりながら、哲二はズレた眼鏡を直している。
「取引きの内容で"希望するプレイヤーを一人生き返らせよう"という部分。
もしこれが影山の虚言(きょげん)でないならば、任意でプレイヤーを生き返らせることができる」
「そりゃぁ、出来るだろ。ゲーム作った奴なんだからよ」
あっさり言うなよ修司。
このゲームのシステムがよく分からないが、生き返ることは可能ってことなのか?
「クリアだけに焦点を置かないで、影山のいる場所を突き止めることもこれからは念頭(ねんとう)にいれたほうがいいかもね」
話をはぐらかされたからなのか、疑われている柚葉が心配な美咲は不満そうだ。
「それにしてもよ、クリアアイテムどこにあんだ?」
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