カプセルモンスター

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肌を刺すような気配。 これは殺気。まだインドラちゃんは生きている。 よく目を凝らすと粉塵の中には一体の影が。 戦闘はまだ続く。 それでも相手の最強の武器を手に入れた私は勝ち誇ったようにポーズを決めた。 自分を奮い立たせるように。 よーし。このヴァジュラでお返しよっ! 右手で握り締めたヴァジュラをかざす。 範囲指定は【ブラック・レイン】と同じかな? 見よう見真似でやってみると、雨雲から一筋の光が地上へと降り注いだ。 目に映る光景に少し遅れて音がついてくる。 ――ドォォォォォン! 落雷は見事インドラちゃんに命中。 しかし、まだ生きている! 粉塵の中の影はフラフラと立ちあがり槍を構えていた。 もう怖くないんだから、何回だって雷を落としちゃうよ! 再び天にヴァジュラを掲げようとすると、別の方角から殺気が。 【グングニルの槍】発動。 どこからともなく黄色い槍が飛んできてインドラちゃんの頭部を貫いた。 これって……。 後ろを振りかえる。 折れたサーベル、だらんと下がった左腕……スキルを発動した男はかなりのダメージを受けていた。 シャーちゃんだ。 た、助かった。 この人が神様に見える。 カプセルモンスターなんて言ってごめんなさい。 下僕なんて言ってごめんなさい。 心の中で謝罪した。 「あ、ありがとうございます! このヴァジュラって武器凄いですねっ!」 『……それ、使わないほうが身の為ですよ』 「えっ、どうしてですか?」 『……一度使用する度に寿命が一年から三年縮みますから』 い、一回使っちゃったよ……。 「こ、これ……あげます」 【ウォーター・ヒール】発動。 【ホワイト・ヒール】発動。 ヴァジュラを受け取りながらシャーちゃんは自分と私を回復させた。
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