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視点 西条 美咲
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私は一枚のチケットを破ってジープを出現させた。
もうすぐイベントが開始される。
過去の経験から、こういったイベントは開始早々プレイヤー同士が戦い始める事になる、とアーツが教えてくれたので先に移動することになった。
哲二達と別々の場所で焦ったが、火山を目指しながら敵を倒せばそこそこPが稼げるし、合流もできるわ。
見上げるように私を覗き込んでるアルトが口を開いた。
『お姉様、車は誰が運転するっぺした?』
前回のイベントで乗り物の運転には懲りている。だからといって修司の運転なんか絶対に嫌。
「アルト頼んでもいい?」
『ぬらめっさ無理っぺした! オラ耕運機すら乗れねぇんだ』
「耕運機とか……」
私だって乗れないわよ。
『私が運転しましょう』
私の手から鍵を取ったアーツはすすんで運転席に座った。
修司とアルトが後ろの座席に乗り込み、私は助手席に座る。
『それでは出発します』
≪ブラーノスの依頼イベントを開始しました≫
スタートの合図が掛かった瞬間、プレイヤーの輪の中から強烈な光が放たれた。
光の中心にいる人物は剣を振り上げポーズを決めている。
――い、泉!?
あれは泉だわ。そしてあの光は……泉スパ……いえ、ホーリー・オーラという勇者最大のスキル攻撃。
まさか、アイツ……ここであれをぶっ放すつもり!?
「アーツさん、早く!」
『えぇ、分かってます。あれはまずいです』
アーツが車を急発進させると同時に泉が何かを叫んだ。
叫んだ内容は聞こえなくてもわかるわ……。
その直後、太いレーザー光線が大地をえぐりながらプレイヤー達に撃ちこまれた。
前に見たときよりも各段に破壊力が増している。
Aランクプレイヤーを今の一撃であれだけ一気に倒したのなら相当なPを稼いだはず。
あの馬鹿勇者にだけは負けたくないわね。
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