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運転席は二人しか座れないので武以外は全員荷台に乗ることに。オレ達が荷台に乗ったのを確認した武がエンジンを掛ける。
――ん?
プレイヤーを風でオレ達に寄せ付けないようにしているパトリシアさんの背後に男が走り込んでいく。
「パトリシアさん! 後ろっ!」
あの風はパトリシアさんを中心に円を描くように吹いている竜巻のようなもの。
それをものともせずに突っ込めるなんて。
『プレイヤーを狙うとは不届き千万! このディアブロ様が滅殺してくれるわっ!』
【ストレート・ガード】発動。
男に気がついた団隊長が楯を構え突っこんだ。
重戦車の一撃が向かっていく。
ディアブロと名乗った男は、向かってくる団隊長の楯を拳で打ち返そうとしていた。
なっ、何を考えているんだ。
――ガシィィィン!
ドラが鳴ったような重低音。
弾き返しことはできなかったが、団隊長の楯を拳(こぶし)で受け止めていた。
『てめぇ、運営か!? 殺すぞコラァァ!』
巻きこんだ風をレイピアに集めパト隊長は男に撃ちこむ。
一直線に伸びる風の槍。
『女子(おなご)がそのような言葉を発するとは……世も末。
世紀末とはこのことかぁぁぁ!』
まったく理解不能なセリフを叫びながらディアブロは風の槍を拳で打ち返す。
――強い。
団隊長の楯を受け止め、パト隊長の攻撃も打ち返す。冗談みたいな男だが実力は本物だ。
「武、早く車を出して! あの二人なら大丈夫だ。というか僕等がいても役に立つとは思えない」
『分かったっぺよ!』
エンジンをふかし武は発進した。
が……。
「お、遅いぞ。もっとスピード出せよ」
『オラ時速30Km以上で走っだごとねぇがら怖いっちゃ』
時速30kmならスキル使って走ったほうが速いだろ。
パト隊長が風を攻撃に使用しているので、風が止みプレイヤー達がオレ達の車を追い始めた。
「速く、もっと速くだ!」
一人のプレイヤーが縄のようなスキルを発動し車に伸ばしてくる。
「健太郎、車の後方にスキルを頼む」
哲二の指示で、健太郎がスキルを発動した。
【永久凍土】発動。
車の後方、広範囲に魔法陣が出現するとプレイヤー達は左右に回避した。
「武、今のうちにっ!」
……のろのろと車は加速した。
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