543人が本棚に入れています
本棚に追加
/36ページ
再び上段に構えた宮地。
オレは右上段に鬼丸を。
汗がポタポタと地面へと垂れていく。
先に動いたのは――宮地。
『おらぁぁぁ!!』
「うぉぉぉぉぉぉぉ!!」
振り下ろされる宮地の両手首を斬り落とし、下から上へと鬼丸を振り上げる。
【蜃気楼】発動。
緑色のオーラがオレを包み込んだ。
三本にブレて見える刀身が宮地の胸部を斬り裂く。
さらにそのまま左から右へ鬼丸を薙ぎ払った。
――ザシュッッ!!
発動されたのは手数が三倍になるスキル……。
一本は首を跳ね、残り二本は腕と胴体を斬り裂いていた。
振り返ると、震える手で杖をオレに向けている牧田の姿が。
そうか、ジャミングシステムの範囲外に移動したからスキルを発動できたのか。
消えゆく宮地のPDAを救出して二人の元へ駆け寄った。
「大丈夫か?」
泉と牧田は互いに回復アイテムを使いあっている。
『牧田、よくやったぞ。これで仇は討てたな……』
『お、女の恨みは怖いのよ……』
一本はオレの攻撃だけれど、残り二本は牧田の恨み。
大人しそうな牧田だけど、宮地を倒す直前に手数を三倍にするとか。
仇を討つには絶好のタイミングで発動したな。
オレも女性の恨みだけは買わないようにしないと……。
救出したものを確認するため、PDAを開いた。
===============
【救出完了(247/300)】
お好きな項目を選択して下さい。
①レベル【9】
②スキル【匍匐前進】
③GP【1837】
【①・②・③ 】
残り時間 22秒
===============
久々にスキルが当たったと思ったら匍匐前進(ほふくぜんしん)って何だよ。いらないでしょ、こんなスキル。
オレは迷わずレベルを選択した。
最初のコメントを投稿しよう!