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視点 佐藤 哲二
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ミッション施設――09:58
「……で、最後に……すると……なんです。さらに精神的に追い詰めるには……」
説明しながら作戦を練り、時間も稼いだ。
『うん、うん。凄くいいね、他には?』
興味を引きつけるのはこれ位でいいかな。
そろそろ時間だ。
今頃、逃げていった社員達がどうにか僕を救おうとしているはず。
そうなったらまずい。
誰が何人ここに来たって無駄死にするだけ。
どうなんだろう……雷斗さん達でもまずいんじゃないか。
そう思わせるほどジュエルの実力は桁外れだった。
「次のFinal lessonですが、実は……」
それでも脱出の算段は整っている。
戦いに勝つ事と、目的を達成する事は別だ。
僕にはそれができる。自分が立てた作戦を信じるんだ。
『どうしたの? 早くボクに教えてよ』
掌(てのひら)には緊張の汗が。
「残念ですが時間がありません、ここに来た時はジュエルさんとの素敵な出会いなんて想像していなかったので。
この場所に沢山の爆弾を仕掛けてしまいました。
もう爆発します。だからFinal lessonはもう……」
爆弾を仕掛けたのは事実だ。
ジャスト10時に爆発するようにタイマーをセットした。
その威力はかなりのもの。僕に防ぐ手立てはない。
『そんな理由で、大事なFinal lessonを?』
「えぇ、とても残念です」
――09:59:55
僕は一歩だけジュエルに近づき、目を閉じた。
【土柱】発動。
【水乱(すいらん)】発動。
【炎槍(えんそう)】発動。
――ドォォォォォォォン!!
仕掛けた五つの爆弾が次々と爆発。
と同時に、地面からは何百本もの水の紐が出現し、爆風をガード。
僕はジュエルに抱えられ、盛り上がり続ける地面で上へと運ばれる。
真上に挙げたジュエルの右手からは鋭い炎が噴射され天井を破壊した。
――助かった。
自分で脱出できなければ、相手に連れていってもらえばいい。
ミッション施設の外に出た事を確認し、僕はポケットの中にあるベルを押した。
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