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この鎌……触れるだけでオーラを吸い取るの？
――ギィィィィン!!
死神を追い越し接近してきたアーツが私に攻撃を開始した。
【愛染明王】発動。
(あいぜんみょうおう)
黒いオーラを身にまとい、弓を引くような動作をするが何も起こらない。
無防備なアーツへ死神の鎌が。
――ギィィン！
体を反転させ、手にする神剣で大鎌を受けてしまった。
吸い取られる私の想いに比例して、小さくなっていくグラネル。
想いやオーラを込めて強くなる剣とオーラを吸い取る鎌。
属性の相性は有利だけれど、武器としての相性は最悪だわ。
右肩でアーツの背中を突き飛ばし、リッチから離れる。
≪哲っちゃんと連絡がついた！ こっちに修司をよこしてくれるってよ！≫
「あの馬鹿に一秒でも早く来るように言って！ このままじゃ……」
幸いリッチの移動スピードはそれ程速くはない。
どうにか先にアーツを気絶させなくちゃ。
立ち上がりサーベルを構える無表情の男。綺麗な金色の髪は乱れている。
≪迂闊(うかつ)には飛び込むなよ、理性を失っているけど鍛錬された技術は体が覚えているからな！≫
私は武器を構えたままアーツと対峙している。
ポルンのアドバイスがなくても、動けなかった。
隙がないわ……。
シャークと戦った時と同じような感覚。
まるで歩き方を忘れてしまったように、踏み出す一歩が分からない。
≪今、アイテムを探してるから"風"で時間を稼げ！≫
ポルンが言っている"風"とは、先日新しく覚えたスキル【ﾎﾜｲﾄ･ｻｲｸﾛﾝ】失った【ﾎﾜｲﾄ･ﾄﾙﾈｰﾄﾞ】の強化版。
まだ使った事はないけれど……。
背後からリッチの殺気が迫っている、急がなくては。
私は両手でグラネルを頭上に掲げた。
【ﾎﾜｲﾄ･ｻｲｸﾛﾝ】発動。
刀身に白い風が渦状に纏わりつく。それを背後に迫るリッチに放った。
≪み、美咲!? なんでそっちにっ！≫
「どんなスキルか分からないのに、仲間に放てるわけないでしょっ！」
≪ななな、な!? ま、まさか……美咲……う、浮気はよくないぞ≫
「はぁ!? 馬鹿なこと言ってないで早くアイテム！」
小さかった渦が、リッチの足元で一気に巨大化。
巻き上げられた死神は上空へと飛んでいく。
聖属性ではないこの攻撃でダメージを与える事はできないけれど、時間は稼げたわ。
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