西門最終戦

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紅蓮の剣と化したグラネルでアーツの攻撃を受ける。 私の右腕から赤いツルが狂戦士へと伸びていくが容易く切断された。 集中して、冷静に。 実力の差は分かっている。でも今のアーツは万全ではない。 活路を見抜かなくちゃ。 相手の武器だけに集中しないで全体を見るのよ。刹那の判断が勝敗を分け…… ≪いいもんあったぜ、激烈口臭ドリンクだ! これを飲めばその強烈な口臭で相手の動きを……≫ 「うるさいっ! 集中しているんだから黙ってて!」 ――ザシュッ!! 右大腿部に痛みが走る。 さらに頭上からくる追撃を私は転がる様に回避した。 死神リッチ、呪われたアーツ、それに馬鹿なトナカイ。 三重苦のような状況だわ。 ≪お、おい……≫ 「いい加減にしてっ!!」 ≪ち、違う。修司がもう来る。ギルド前の監視カメラを通過したからもう来るんだ!≫ 【命懸け】発動。 【捨身】発動。 【ホワイト・ブレイク】発動。 【精神統一】発動。 ――!!!? 一気に減っていくHPバー。 アーツは様々な肉体強化スキルを同時に発動した。 弓使いの印象が強いが、この人だってシャークみたいに様々な職業を経験していたっておかしくないわ。 スキル保有数だって一体いくつなのか……。 ≪――右っ!!≫ ポルンの掛け声で、咄嗟に右方向へ。 アーツの得物が私の髪を数本だけ切り裂いた。 スピードが格段に上がっている。 ≪修司が来るまで30秒だ。それだけ耐えろっ! 俺様が目になってやるから!≫ 呼吸数が異常なほど増えている。 極度の緊張と疲労。 体が自分のものではないみたいだわ。 ……周りの景色が消えている。 アーツと私だけしか存在しない世界にいるような不思議な感覚。 なぜかアーツの体がブレて残像が……で、でもこの残像は変よ。 残像なのに先に……。 ――くるっ! 顔面を狙った突きをすれすれでかわし、アーツの背後へ。 体を巻き込むようにして半回転したアーツが下段、上段と打ち分けて攻撃するが全て見切れた。 ポルンが何か、した?
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