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見えない位置。丁度私の右斜め後方からリッチが迫ってくるのを感じる。
気配とか殺気ではない。なるほど……理解できる。
≪間に合ったぜ。音声案内アイテムを使ったから半径3m以内なら攻撃予測できる。あと20秒耐えろっ!≫
踏み込んだアーツは斬撃とスキルによる同時攻撃を仕掛けてきた。
背後からはリッチの大鎌が。
私の目に映るのは、先読みされたアーツの残像と画面分割された後方からの映像。
まるでテレビ画面を二つ同時に観ているような視野が広がっていた。
これのおかげでさっきも回避できたの?
クナイのような飛び道具を赤いツルで弾き、上段から振り下ろされたサーベルを避けつつ後ろを振り向く。
――ガギィィィィン!!
正確に首を斬り落とそうと、私に薙ぎ払われた死神の鎌をグラネルで受けた。
怒りで染まった赤いオーラが吸い取られていく。
私は鎌を押し返し、さらに死神を蹴り飛ばす。
すぐさま体勢を整え、右からくるアーツのレイピアをかわした。
≪アーツを行動不能にする最後のチャンスだからなっ!≫
偉そうに……。
アンタのせいでどんどん状況が悪くなったんでしょ。
ポルンと喋っている暇などない。
私からアーツに攻撃を仕掛けるべく、間合いを詰める。
そうはさせまいとするアーツの動きがブレるように映像で表示された。
――ここよっ!
薙ぎ払ったグラネルを、頭を下げる様にして回避したアーツ。
動きが読める!
私は死角から武器を持つ手首を狙って蹴り上げた。
――バキッ!!
レイピアが弾き飛んだ先はポルンのアイテム効果範囲外。
この武器を取らせるわけにはいかない。
アーツと同時に走り出すが、移動力はアーツのほうが上。
私は走るのを諦め、落ちているレイピアに向かってグラネルを投げつけた。
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