西門最終戦

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見上げる様に垂れ下がる赤い布を辿ると刃の根元が。 長い得物は、神槍グングニル。 「――修司!!」 「すまねぇ、遅くなったわ」 【エア・ダッシュ】発動。 一瞬だけ視線を交わした後、修司の体はブレるように加速し死神に斬り掛かった。 槍を振り上げる度に黄色い残像が後から付いていく。 でも、駄目。修司の槍もオーラを流し込めるタイプの武器。 私はグラネルを拾い修司の元へ。 「そいつの鎌はオーラを吸い取るわっ! だから……」 「だから、――何だ?」 リッチを介しても向こう側の景色が分かる程の大きな穴が腹部に二か所、地面にはしわくちゃの左腕が落ちている。 ボロボロのローブからさらけ出した頭蓋骨は半分が砕けていた。 鎌を一切受けずに死神を攻撃している。 もちろん敵にダメージはない。破損した部分にドロドロとした黒い液体が溢れ出しすぐさま修復を開始していた。 狂戦士状態のアーツですら攻めきれなかった相手をアンタ……。 「聞いて、聖属性や光属性じゃないとダメージを与えられないの、だからグラネルで止めを刺さないと」 「属性? ……よくゲームでそんなのあったな。じゃあ、俺は攻め続けるから最後は頼む」 「分かったわ、お願い」 いつもと雰囲気の違う修司に少し戸惑ったが、私はすぐに武器を構えた。 さっき破壊した死神の各部位はすでに修復されている。 闇のオーラに包まれた鎌が……光輝いて!? 青白いオーラ。まさか吸収したグラネルのオーラ? 「修司、何か変よ!」 「嗚呼……」 死神の変化に気が付いた修司も槍を構えたまま動かない。 「ポルン!!」 ≪わかってる。今調べたぜ。あの武器はエリオットの鎌だ。光や聖属性を吸収すればするほど戦闘力が上がるらしいぞ≫ 二つの属性しかダメージを与えられない敵に、その属性を吸収できる武器を与えるなんて……。 すでに私から二回吸収している。 ポルンからの情報をかいつまんで修司に説明した。
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