兵法三十六計③

7/14
前へ
/40ページ
次へ
助けに……い、いや、大丈夫。オレが耐えられたんだ、この人がやられる筈など無い。 オレは団隊長を救出せず、シヴァを見据えオーラを集め始めた。 【染井吉野】発動。 体中に力が漲(みなぎ)っていくのを感じる。 巨大過ぎて何処を狙ってよいのか迷うが、丁度正面にある首に照準を合わせた。 これだけ接近すれば錫杖は届かない。独鈷による光線も止んでいる。 今はチャンスなんだ。 日本刀を右に構え振りかぶった。 「うぉぉぉぉぉ!!」 風の突進力を刀に乗せ首筋を斬り付けた。 ――パキィィィィン!! お、折れた!? 手にする日本刀は根元から綺麗に折れていた。 シヴァの太い首は皮が一枚切れただけ。 すぐにチケットを破り新しい日本刀を取り出したけれど……恐らく結果は同じだろう。 これではダメージを与えられない。 どうすれば……。 【マントラ(フム)】発動。 シヴァは下側の手を合わせ合掌のポーズを取っていた。 周囲にあった梵字も消えている。 攻撃がくる、防御しないと。 オレはシヴァの肩口から離れ、周囲を警戒。 出現した殺気は――上空。 振り向くと、独鈷が放ったであろう光線が目前に迫っていた。 ――バシュッ!! 怜香さんが付与してくれたアクア・ボールがガードしたため、光線は屈折し逸れていく。 どうして、上から……。 独鈷から放たれる光線は全て直線的なものだ。 この位置関係からは来るはずのない攻撃。 シヴァの前側に回り込み、独鈷を確認すると無数の光線を放ち続けている。 その先は……梵字!? カラフルな残像を残し、光線は次々と文字へと吸い込まれていく。 ……あ、まさか!? ぐるりと回転して見回すと、オレの周囲にうっすらと梵字が浮かび始めていた。
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

532人が本棚に入れています
本棚に追加