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数秒の静寂の後、シヴァが作り出した球体が爆発。
やばい、この位置では……。
【イージスの楯】発動。
暖かいオーラが全身に。
上昇してきた団隊長が光の楯で爆風を防いでくれていた。
「このまま、シヴァに突っ込んでもらえませんか!」
『…………。』
きっと敵はまだ死んでいない。その証拠に列をなした梵字が爆発の威力を吸い込んでいた。
スキルが消えていないということは、生きている。
【ストレート・ガード】発動。
推進力がさらに増し、オレを背に乗せた団隊長は爆発の中心部へ。
スキルはもう使えないけれど、やるしかない。回復されたら倒す手立てはないんだ。
振り下ろされてきた錫杖。
独鈷から撃ち出された光線。
それらを全て回避しながら団隊長は進んでいく。
怜香さんも地上から水の柱で援護してくれていた。
「ギリギリを通過できますか?」
日本刀の間合いで斬るには十分に接近しなくてはならない。ましてや、人の背中に乗っているんだ。
団隊長の背中には初めから人が乗る想定なのか、鎧に二つの輪が設けられている。
オレはそこに足を掛け立ち上がった。
黄色いオーラを噴射しながら弾丸のような隊長が向かう先は左側の腕。
独鈷がある方の腕だ。
接近するにつれ強くなる光線。
「この光線の量は……」
『…………。』
イージスの楯が今までにない程に輝き出した。
団隊長も最後の力を振り絞っている!?
独鈷から至近距離で放たれる光線をものともせずに突き進む。
オレは目の前に迫るシヴァの左腕を見据え、武器を構えた。
赤いオーラが刀身を包み込み、その先端部分が長くなっていく。
雷斗さんのスキル【長月】のような感じだ。
これならそれ程接近しなくても攻撃ができる。
「このまま真っ直ぐですっ!」
――ザシュッッ!!
すれ違いざまに一振り。
柔らかな繊維質を斬った感触が腕に伝わる。
スキルを発動した団隊長が急降下し下側の腕へ。
縦横無尽に敵の懐を動き回り、各体のパーツを破壊した。
残すは頭部のみ。
既に楯による光のオーラも消えている。
対するシヴァの口には大量のオーラが。
『…………行けるか?』
――光の防御が無くても大丈夫なのか?
そう言いたいのだろう。
無口な団隊長が口を開く事により、危機的状況だということが分かる。
日本刀を正面に構え、オレは答えた。
「――いけますっ!」
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