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視点 西条 美咲
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ったく、何やってんのよ。
机を叩く指先のリズムが自然と早くなっていく。
ここは、指令室横のミーティングルーム。
全面ガラス張りで、外の景色もよく見える。
楕円形の大きなテーブルには、哲二と私、それに雷斗さん、アーツさん、パトリシアさんが着席していた。
とにかく、あとは蓮がくれば会議が始まるのに……何やってんのよアイツ。
私はある不安から抑えきれないイラつきを覚えていた。
皆に言うべきか。
丁度その時、プシューっと空気が抜ける音と共に自動ドアが開いた。
「す、すいません。遅れました!」
「アンタ、遅……」
『待たせ過ぎだろっ、蓮! 殺すぞ!』
私の声にかぶせ、パトリシアさんが蓮を怒鳴った。
少し遅れたくらいでそんなに怒らなくても……。
私はいつも短気な自分の姿をパトリシアさんに重ね、少し反省した。
この人、私にとっていい反面教師だわ。
「それでは、揃いましたので始めますね」
哲二の進行で話が進んでいく。
最初の議題は、試しの神殿に行くメンバーについて。
配られたメンバー表には、私達の他に雷斗さんのチームと泉のチームが書かれていた。
『これしかねーよな。他に戦闘に加えられそうなメンバーは見当たらなかったからな』
バサッとプリントの束を机に置いた雷斗さんは包帯で巻かれた右腕を三角巾で吊っている。
骨折なんて何十時間後に治るのかしら?
『えーと、この件に関して私から意見が……』
異論を唱えたのはアーツさん。
戦闘メンバーに関しては問題なく進むと誰もが思っていたので、それぞれが困惑した顔をしている。
『意見と申しますか、推薦ですね。私は彼女をメンバーに推薦します』
アーツさんはそういって席を立ち、蓮が入ってきたドアとは違う扉を開いた。
――えっ!?
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