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鷹山は顎を上げ、苦しそうに叫んでいる。
まだ完全に主導権を奪われていないのか?
様子を伺おうとした所、背後から気配が。
「排除します」
生気のない表情で、そういったのはシエル。
よく知っている気配なのに、その表情には以前の面影はない。
「下がってろ。今のお前じゃ、到底無理だ」
「影山様の御命令です」
シエルが一歩前に出ると、大鎌を担ぐように持つ背中が俺の視界を塞いだ。
懐かしい光景。
無鉄砲なお前はいつも力任せに突撃していったもんだ。
俺はいつもそのフォローをするばかり。
洗脳か……。
「ターゲット、鷹山蓮。排除します」
「好きにしろや」
勝手に突っ込むっていうんなら別に構わねー。
お前を囮(おとり)にして、堕天使の御魂を発動するだけ。
俺は"あいつ等"の為、どんな事をしても生きると決めたんだ。
【アン】発動。
【ドゥー】発動。
その場から動かず、シエルが鎌を真横に振ると複数の斬撃が飛び出した。
鷹山は上を向いたままだったが、殺気に気が付いたのか迎撃態勢に。
【トロワ】発動。
斬撃に鬼丸の刃が触れると、小爆発が。
それでも鷹山は何事もなかったように次々と斬撃を打ち落とした。
奴の全身には薄い膜が張られていた。
ちっ――
龍王の楯の能力まで使いこなしてやがる。
俺は突撃するシエルの背後に身を隠すよう、動き出した。
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