取引②

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鷹山は顎を上げ、苦しそうに叫んでいる。 まだ完全に主導権を奪われていないのか? 様子を伺おうとした所、背後から気配が。 「排除します」 生気のない表情で、そういったのはシエル。 よく知っている気配なのに、その表情には以前の面影はない。 「下がってろ。今のお前じゃ、到底無理だ」 「影山様の御命令です」 シエルが一歩前に出ると、大鎌を担ぐように持つ背中が俺の視界を塞いだ。 懐かしい光景。 無鉄砲なお前はいつも力任せに突撃していったもんだ。 俺はいつもそのフォローをするばかり。 洗脳か……。 「ターゲット、鷹山蓮。排除します」 「好きにしろや」 勝手に突っ込むっていうんなら別に構わねー。 お前を囮(おとり)にして、堕天使の御魂を発動するだけ。 俺は"あいつ等"の為、どんな事をしても生きると決めたんだ。 【アン】発動。 【ドゥー】発動。 その場から動かず、シエルが鎌を真横に振ると複数の斬撃が飛び出した。 鷹山は上を向いたままだったが、殺気に気が付いたのか迎撃態勢に。 【トロワ】発動。 斬撃に鬼丸の刃が触れると、小爆発が。 それでも鷹山は何事もなかったように次々と斬撃を打ち落とした。 奴の全身には薄い膜が張られていた。 ちっ―― 龍王の楯の能力まで使いこなしてやがる。 俺は突撃するシエルの背後に身を隠すよう、動き出した。
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