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『今のはやばかったんじゃねーの? おっさん』
葉山は蜜柑色のオーラを下半身に纏い、緑色に光る刀を構えていた。
やっと復活かよ。
「いいか、余計な手出しはするな。お前は…………。」
『なんだよ?』
「いや、好きにしろ」
独特かつ変則的なスタイルの葉山には自由に戦らせたほうがいい。
俺がフォローに回るか。
戻ってきたシエルも戦闘に加わろうとスキルを発動している。
どいつもこいつも言うことをききやしねー。
頭には凛子と渚の姿が浮かんできた。
ったくよ、いつだって俺はガキの子守だ。
『なぁ、おっさん』
いつ鷹山が動き出すかわからねぇってのに、葉山は片足を後ろに引きストレッチをし始めた。
俺は無言のまま葉山に視線を送る。
『一瞬でも、蓮の意識を飛ばせば堕天使の御魂が使えるんだろ?』
「さぁな、使ったことねぇーからよ。あぁ、それと葉山……」
俺は葉山の耳元に口を近づけ、腹の底から思いっきり声を出した。
『俺はおっさんじゃねぇっっ!! さっさと、行けっ!!』
「――ってぇな。耳元で大声出すなよ、おっさん!!」
【師走】発動。
【弥生】発動。
三つの分身を出現させ、葉山は鷹山に突っこんでいった。
【銀竜】発動。
【泥粘土】発動。
銀色の蛇に翼が生えたようなドラゴンが出現し、葉山の後を追う。
さらに攻撃の意志を見せた鷹山の足元がぬかるんでいく。
おら、典太。休んでんじゃねーぞ。
俺は腰元の得物を引き抜いた。
≪何だ、ゼノン。またこんな役回りかよ。運営より教師とかに向いてんじゃねーのか?≫
ふざけたこと言ってっと折っちまうぞ。
俺は右手の武器を乱雑に振り回し、前を行く葉山の後を追った。
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