勇者の役目②

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『コレ、返すよ』 そういって、ジュエルは無造作に巨人の腕を放り投げた。 その先には真っ直ぐ突っ込んでいく神田の姿が。 神田は目の前に現れた障害物を回避しようとしたが、直線的なスピードを急には緩められずに直撃した。 幸にも下敷きにはならずにすんだが鈍い音と共に吹き飛んだ。。 『修ぞうっ!!』 それをみた滝澤の小さな体から強力なオーラが立ち昇る。 敵の頭上。 スコールの様に短剣がジュエルに降り注いだ。 しかし、磁力で引き寄せられたかのようにジュエルを逸れ、地面の一ヶ所集められてしまった。 やべぇ、逃げられる!! 俺は勇者の剣を振り下ろし、空に充電された雷を太い柱にして敵の頭上へと落とした。 ――!!!! 天高く翳(かざ)された杖を中心に、雷柱が半分に割れていく。 逸れた電流はみるみるうちに地面に吸い取られていった。 『…………雷属性か』 土が電気を吸い取ったのか? 俺の雷をこんな風に回避した奴は初めてだ。 ジュエルを睨みつけると、黒いローブを腰元で縛るベルトのようなアクセサリが一瞬チカッと光るのが見えた気がした。 ん、何だあれ。 『もうお終い?』 奴の体がふわりと浮きあがりグングンと空へ上昇していった。 そして杖を右へ左へ動かすとすぐにオーラが蓄積された。 【水生白雲】発動。 (すいせいはくうん) 杖から発せられたオーラが天を突くと、どこからともなく分厚い雲が発生。 瞬く間に降り出す豪雨。 『これだけ地面が濡れてしまえば、もう雷は使えないでしょ?』 こ、こいつ、天候まで操りやがった……。 サイクロプスによる物理攻撃は効かない。 雷系のスキルも封じられた。 そして、また上空へと距離を取られてしまっている。 ……作戦は、失敗だ。
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