シャーク・Kという男

14/20

520人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
=============== 視点 鷹山 蓮 =============== 魔法陣上に形成されていくカトラスのシルエットを眺めながら、オレはゼノンの言葉を思い出していた。 ≪特別な遺伝子を受け継いだ奴等がいる≫ ≪カトラスもその一人≫ 最終の間へ移動する際、詳しい話を雷斗さんに教えてもらった。 影山による遺伝子実験。 ありとあらゆる分野の優秀な遺伝子を集め、影山の遺伝子と掛け合わせるよう手を加え改良、完成したものは"K遺伝子"と呼ばれた。 やがて、試験管で生まれたその子達は、戦闘を軸とした厳しい英才教育を受けさせられる。脱落者は容易く見捨てられ、激しい生存競争の中残った者だけが次のステップへ。 そんな特別な遺伝子を持った人間達(K遺伝子プレイヤー)が、数十年後【Kill Time】の世界に放たれた。 カトラスもその一人。 火山風穴で出会った時、明らかに奴はバトロワを楽しんでいる風だった。 そして、コロシアムでカトラスは確かこう言った。 ≪せっかく天下五剣所有者が全員揃うんだ、楽しもうぜ≫ 自分が楽しむことを優先している。 影山と似ているんだ。 奴の口癖も≪私を楽しませてくれ≫だから。 …………えっ、ちょっと……あれ……まさか……。 オレの脳裏に浮かんだ"仮定"が瞬く間に"確信"となった。 ……まだいる。 K遺伝子を受け継いでいるプレイヤーは、まだいるんだ。 それも、オレがよく知っている人物。 その人の口癖は……   ≪……面白いですね≫ シャークと同じ遺伝子を持つ、カトラスの転送が完了した。
/32ページ

最初のコメントを投稿しよう!

520人が本棚に入れています
本棚に追加