シャーク・Kという男

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=============== 視点 ゼノン =============== 数珠丸が折られた勢いで、目深にかぶっていたシャークの帽子が吹き飛んだ。 赤茶色の少し長めな髪。鋭く光る眼光。 初めて見るその顔に見覚えがあった。 「お前、やっぱり……」 運営サイド。つまりプレイヤー達がいるフィールドの裏側。 【Kill Time】世界での過去の英雄――影山を楽しませた者の肖像画が飾られた廊下がある。 その多くが影山と似たような顔をしていた。 カトラスもしかり。 つまり、影山を楽しませ死んでいったK遺伝子プレイヤー達。 シャーク、やはりお前もそうだったのか。 『もう終(しま)いだろ? さっさと死ねっ!!』 レイドはスナッチソードを片手で振り上げた。 シャークはスキルも発動せず、新しい武器を出すわけでもなく、その場から動かない。 【土柱】発―― くっ、駄目か。スキルポイントがもうねぇ。 右上段から左下へ黒く長い剣が振り下ろされようとするが、シャークはまだ折れた数珠丸の柄を握ったままだった。 捨て身で行くしかないと、典太を握り締め飛びだそうとした、その時―― 黄色い火柱が噴き出す大地に、キィィィンと金属同士がぶつかり合う音が響いた。 『テメェ……』 『…………。』 スナッチソードを受けたのは、赤いオーラが刀身となった数珠丸。 両者は鍔迫り合いなどせず、互いに刀を押し出すような形で離れた。 『……ようやく、この武器のキャップが外れたようですね』 シャークが持つ数珠丸からは、止まる事を知らない湧水にように赤いオーラが噴き出していた。
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