シャーク・Kという男

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各ステータスに負荷を掛けてキャップを外す。 シャークにとって、自らのキャップを外す事など当たり前で、その先――。 ずっと数珠丸のキャップを外そうとしていたんだ。 初期世界ではどんなに特別な武器――七色の剣や勇者の剣だって★6止まりだと思っていた。 それは武器や防具にもキャップが掛かっているから。 「いつからだ……」 馬鹿みてーにスキルを発動していたのは自分に負荷を掛けているのではなく、特殊能力がスキルと綿密な関係にある数珠丸に負荷を掛けていたんだ。 俺の問いに、シャークは答えた。 『……以前、数珠丸を折られた事がありましてね。その時、この数珠丸のキャップが外れる可能性に気がついたんです』 鷹山が折った時か……。 体勢を整えたレイドがスナッチソードを振り上げた。 『だから何だっていうんだ。武器が同等になったからって身体能力が変わるわけじゃねーだろっ!!』 そう言い放ち、一瞬でシャークの間合いに入っていった。 目で追うのもやっとの速さ。 当然、移動と同時に攻撃モーションに入っている。 黒く光るスナッチソードの刀身が右下から跳ね上げるように上段へ。 『…………。』 シャークはレイドの一撃を回避せず、それどころかさらに間合いを詰め攻撃に転じた。 赤と黒。両者のオーラが混ざり合う。 捨て身の攻撃に臆したレイドは攻撃の軌跡を変え、数珠丸を受け止めた。 キャップの外れた数珠丸では致命的なダメージを受けると判断したんだ。 受けるレイドの黒剣が赤い刀身に押されていく。 【斥力】発動。 【ダークマター】発動。 漆黒のオーラが爆発的に増加。 【ホワイト・ウィンド】発動。 【縛植】発動。 【増殖】発動。 シャークの背後から濃い乳白色の突風が吹きつけ、足元から意思を持った生物のように伸びたツルが下半身をがっちりと固定した。 全方位、全てを吹き飛ばす力の塊に抗(あらが)いながらも、シャークは鍔迫り合いを優位に進めていく。 『――――つっ!!』 強く弾かれ後方に下がったレイドに向け、シャークは呟いた。 『……そのスキルはもう、見飽きました』
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