ホームでのオオカミ

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久しぶりに感じた胸の苦しみは、誰かを想うことで痛んで、こんなにもあたたかで。 二十歳越えた大人なのに・・・ドキドキした。 「・・・ぷっ」 自分の思考に思わず吹き出して、いつまでもしゃがんではいられないから立ち上がろうとした。 「おにいたん、だいじょーぶ?」 きゅっと小さな手が俺のTシャツを掴んだ 「あ、大丈夫・・・って、あれ?」 にこにこしながら俺の服を掴んでいるのはふんわりと柔らかい髪をピンクのヘアゴムで二つにまとめてくくっている女の子・・・。 「おにいたん、ぽんぽいたぁい?」 「痛くない・・・君・・・紡(つむぎ)ちゃんだっけ・・・」 そうだ、この子を俺は知ってる 「しゃのちゅむぎ2しゃいでしゅ」 ・・・おそらく、さのつむぎ そういってんだろう? 佐野・・・ 佐野!? 少しずつサァーっと血の気が引いていく 俺は紡ちゃんを抱っこして立ち上がりキョロキョロ辺りをみまわした
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