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髪が乱れている。
わしの好みじゃないが、抱きたがる男はそりゃいっぱいいただろう。
「よく助かったな」
「軒下に隠れたのよ。それでもあの子打ってきてさ…ほれ、間一髪よ。」
流し目の先には首に赤い傷口からようやく止まったであろう血が乾いていた。
「あんた、恨みかうような事ばっかして…あんた…あんたなぁ…36人だぞ!!一夜にして36人…こんな事が…」
駐在官である村田が膝を落とし、すすりなきはじめた。
「運が悪かったのよ。」
女はそう呟き、傷口を抑えながら峠を見上げた。
鐘の音はあいつが死んだ合図だ。
カーン
カーン
カーン
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