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正直僕は
花束を抱えたノアの姿に息をのんだ。
「失礼――」
そんな僕の気持を見透かしてか――。
ノアは立ち尽くす美奈子の前を素通りし
妖艶に微笑んで僕の目の前に満開の花束を差し出した。
「先生にあげたくて、クラブの庭で摘んだの」
ためらう僕の手をとり強引に花束を握らせる。
「綺麗でしょう?この間のお詫びだよ――」
耳元に囁くと
そっと僕の手の甲を撫でる。
「失礼します」
あんぐりしたまま
美奈子はつまらなそうに部屋を出て行った。
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