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「冗談なら、やめてもらえないか?」
僕は大きなため息をついた。
「冗談?なにが?」
「それだよ。僕をからかって困らせる事」
「先生、困ってらっしゃるの?」
いかにも意外そうな顔を作って
ノアは官能的な唇を歪めた。
「困るだろ。君が何して僕の予定表を埋め尽くしたのか知らないけれど、本当にカウンセリングが必要な生徒だっているんだよ――」
伯父さんにはああ言われたけれど
やっぱり黙ってノアの思惑どおり動くなんて
僕にはできなかった。
僕が大人になりきれてないからか。
それとも
彼に無関心でいられないからか――。
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