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第1話―私を極悪人にしてください―
桜が散りはじめて5月になろうかというある日
学校の屋上で授業を抜け出し空を眺めている男にひとりの女が声をかけた。
「あの・・・御崎先輩、お話があります!!!」
何かとてつもないほどの大きな覚悟を決めた女の顔は真剣そのものである
そんな女に声をかけられた男、御崎 桐―みさき きり―は不機嫌そうな表情を即座に浮かべる
「なんだお前・・・誰だよ?」
女を睨み付けるその様は獲物をみつけた獰猛な獣のようである
そんな眼差しを向けられれば誰でも逃げ出しそうではあるのだが、女は何故か頬を染めて照れるような笑みをみせた
「あの・・・・」
「あ?」
暫しの沈黙の後、女は深呼吸をしてから口を開く
「私を・・・私を極悪人にしてください!!!!!!」
何事にも動じない桐の思考が初めて機能を停止した瞬間であった。
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