第一宵

4/4
前へ
/33ページ
次へ
部屋をでて主についていく。長い道のりを過ぎ玄関につくと、丁度お帰りになられたところらしく、2列に並ぶ使用人の綺麗なお辞儀を受け、悠々と歩くその人がいた この貴族の国…ユーラスト王国で王の次に権力がありそれぞれ貿易・技術・軍事を担う三大貴族。その内の1つ、貿易を担うアレイトス家現当主であり我が主の実父、ケシェル・アレイトス様その人 当主様はこちらに気づいたようで、脱いでいたコートを隣にいる人物に渡すとこちらに歩いてきた。コートを渡された人物こそ、当主様の護衛で私の父である ジル 「お帰りなさいませ。父上」 ケシェル 「ただいま。お前が出迎えとは珍しいな。なにか頼みたい事があるのか?」 人柄のよく威厳があり、皆を平等に扱う当主様と主の仲はいい。主もそんな当主様が好きだとおっしゃっていた ジル 「さすが父上。察しのいい」 ケシェル 「伊達に貿易しとらんよ。さて、頼みとはなんだ?」 主が当主様に頼み事とは珍しい。先ほどまでお辞儀をしていた使用人達も、コートを直しにいっていた父も…当然私も、食い入るようにお二人を見つめていた そんな中、主はこの目線などないかのようにアッサリと言い放たれました ジル 「アルと結婚させてください」 空気が死んだ気がした ケシェル 「よし、今すぐ教会と衣装を手配しろ。孫が産まれたらすぐ抱かせろ、絶対に」 「「ちょっとお待ちを!!」」 使用人にも民にも慕われる偉大な当主様。しかし1つだけ性格に問題がありました 反応が軽い!羽毛のこどく軽い!とにかく軽い!! 使用人達が唖然とする中、叫んだのは当然父と私。父も私も突然過ぎてなにがなんだか分からない 「孫は最低2人以上で!!」 アル 「え?」 ジル 「2人以上か…頑張らないといけないね、アル」 アル 「え?」 ケシェル 「盛んだな」 「「「おめでとうございます(泣)!!」」」 アル 「え?」 何故か止める人がいない。主と結婚?私が?貴族と護衛が? ジル 「本当に好きだって言ったでしょ?…君がいけないんだからね、アルテシラ」 主はそう言うと私を引き寄せた。すぐに感じた唇の感触に、なにがなにか分からなくなった私の頭はショートしたのか、世界が暗転した
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加