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部屋をでて主についていく。長い道のりを過ぎ玄関につくと、丁度お帰りになられたところらしく、2列に並ぶ使用人の綺麗なお辞儀を受け、悠々と歩くその人がいた
この貴族の国…ユーラスト王国で王の次に権力がありそれぞれ貿易・技術・軍事を担う三大貴族。その内の1つ、貿易を担うアレイトス家現当主であり我が主の実父、ケシェル・アレイトス様その人
当主様はこちらに気づいたようで、脱いでいたコートを隣にいる人物に渡すとこちらに歩いてきた。コートを渡された人物こそ、当主様の護衛で私の父である
ジル
「お帰りなさいませ。父上」
ケシェル
「ただいま。お前が出迎えとは珍しいな。なにか頼みたい事があるのか?」
人柄のよく威厳があり、皆を平等に扱う当主様と主の仲はいい。主もそんな当主様が好きだとおっしゃっていた
ジル
「さすが父上。察しのいい」
ケシェル
「伊達に貿易しとらんよ。さて、頼みとはなんだ?」
主が当主様に頼み事とは珍しい。先ほどまでお辞儀をしていた使用人達も、コートを直しにいっていた父も…当然私も、食い入るようにお二人を見つめていた
そんな中、主はこの目線などないかのようにアッサリと言い放たれました
ジル
「アルと結婚させてください」
空気が死んだ気がした
ケシェル
「よし、今すぐ教会と衣装を手配しろ。孫が産まれたらすぐ抱かせろ、絶対に」
「「ちょっとお待ちを!!」」
使用人にも民にも慕われる偉大な当主様。しかし1つだけ性格に問題がありました
反応が軽い!羽毛のこどく軽い!とにかく軽い!!
使用人達が唖然とする中、叫んだのは当然父と私。父も私も突然過ぎてなにがなんだか分からない
「孫は最低2人以上で!!」
アル
「え?」
ジル
「2人以上か…頑張らないといけないね、アル」
アル
「え?」
ケシェル
「盛んだな」
「「「おめでとうございます(泣)!!」」」
アル
「え?」
何故か止める人がいない。主と結婚?私が?貴族と護衛が?
ジル
「本当に好きだって言ったでしょ?…君がいけないんだからね、アルテシラ」
主はそう言うと私を引き寄せた。すぐに感じた唇の感触に、なにがなにか分からなくなった私の頭はショートしたのか、世界が暗転した
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