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満月の夜。子供は夢の中、大人は家の外へ出かける時。アレイトス家の豪邸ではささやかなパーティーが始まっていた
媚を売ろうと擦り寄る者、取り入ろうと自らの武勇伝を語る者…各々の思惑が蠢く中
?
「お前…いつもより派手じゃね?」
アル
「不可抗力だ」
私はもはや蚊帳の外だった
当たり前だ。所詮護衛と貴族。服装が変わったからといって仲良く話すなど滅多にないだろう
?
「てかさ、これなんのパーティー?」
私と同じく蚊帳の外になっているこの男は、三大貴族の攻防を司るアマツキ一族の護衛のセツ・ツェマァー
セツ
「まぁ、タダ飯ありつけるからいいけどな」
性格は簡単にいうと滑稽な策略家。護衛対象が護衛対象なせいか、力より頭脳が強くなった男だ
アル
「…確かジェシカ様が運命の人をとかなんとかおっしゃっていたが」
セツ
「て事はアレイトス家ご令嬢の見合いパーティーか?…お前の方が目立ってるよ正直」
アル
「だろうな…」
何時間にも及ぶ地獄の果てに、ジェシカ様達が選び出したのは紫のドレス。おそらく瞳の色にあわせたのだろう…赤色がよかった
?
「セツ、こんなところに………」
アル
「本日はパーティーにおこしいただきありがとうございます。ミコト・アマツキ様」
今目の前で固まっているのはアマツキ家次期当主ミコト・アマツキ。引き締まった体格に黒髪と鋭い目が特徴の男性。セツがああなった原因だ
ミコト
「…貴殿は…アレイトス家の…?」
アル
「はい。アレイトス家の護衛です」
…さっきからなんで私を凝視するんだ?隣ではセツが百面相を繰り広げていて不快だ
ミコト
「…その衣装、似合っている」
アル
「お褒めいただき光栄です」
なんだ?この状況…誰かなんとかしてくれ
ジル
「あ、アル見っけ」
…誰かとは願ったけども
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