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あれから一月が経ち帝は黙々と雑務をこなしていた。
教育など受けた事が無いが字の読み書きは知っていた為、自分で学習し他の新人に置いて行かれないようになんとか食らい付いていた。
幸い書簡を多く扱う職務である為、嫌でも知識が身に付く現場であったので知識を吸収出来た。
そうして過ごしていくうちに帝はある噂を耳にする。
玉皇大帝にどうやら御落胤が居るらしいという何ともありきたりな話だが、それを武官の長である娑伽羅竜王が捜索しているらしくあちこちへ遠征していた。
御落胤が生きていたら帝と同い年らしいが帝は同僚の話を右から左に聞き流す。
まさか自分の真の父母が国の頂点に位置する神の玉皇大帝などと思っても見なかったからだ。
どうせその他大勢の神のどれかが親なのだ。
親の分からない官吏など山の様に居た為気にも留めていなかった。
高望みなどしてがっかりするだけの無駄な時間など帝には無かったからである。
ざわつく集団を横目に仕事に集中すればあっという間に時間が過ぎていき定時で仕事を片付けると帝は職員寮に戻った。
談話室を横切ろうとした時、監督役に呼び止められる。
「帝手紙が届いたぞ。」
どうやら大旦那様からの手紙で帝は受け取ると歩きながら中身を開けて読み出す。
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