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その上、王が病に伏せりもう長くない事を知り帝は動揺した。
「大丈夫、俺の親の筈がない。」
仕事に集中しなくてはと思えば思う程、集中出来なくて硯を落としたり巻物をぶちまけたりと失敗した。
挙句の果てには上司から心配され同僚から励まされる始末である。
「俺ではない他の誰かが神子様に成れば…」
ぼそりと呟いた言葉に同僚が反応した。
「帝はもしかして親が違うのか?」
コクリと頷けば同僚が息を呑む。
「そうかなら竜王様に会った方がいい。
違うのかそうなのかは分からなくても今の不安は打ち消せる筈だ。」
「それだけは駄目だ。
もしも俺が御落胤だった時に笑えない話だ。
俺に国を治めろだなんて重すぎる。」
帝は重い重いため息を付く。
「俺は静かに暮らしたいだけなのに…」
「じゃあ今の事秘密にしといてやるから仕事に集中しろ、ひっそりとしていれば見つからないかもしれない。」
「お前名前は?」
「李青藍という。」
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