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「生きてる……って、おかしな事をいうのですね。私が貴方を殺すと、そう思ったのですか?」
むしろ僕は、ここで殺されると思わない人間がいるのか疑問を持った。
おとぎ話の中にしか存在しないと思っていた吸血鬼が実在して、しかも血を奪われるとなったら。
「殺されるとしか、思えないじゃん……」
僕がそう言った瞬間、少女は一瞬だけ、とても悲しげな表情を見せた。
まるで何かに裏切られたような、今にも泣き出してしまいそうな、そんな表情を。
「そう……ですよね。普通は、私達は人間の血を吸い付くし、殺す生き物ですもの。」
「ご、ごめん、僕もしかして、今すごく失礼なこと言っちゃった?」
僕がそう言うと、少女は驚いたように目を見開き、そしてくつくつと笑い始めた。
「あなた、吸血鬼が怖いのでしょう。もしかして、私のご機嫌を取っているつもりなのかしら。」
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