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保坂誠司という男を、初めて見たときの記憶がない。
当時高校生だった自分は、この世から消えてしまいたいと願うような、そんな青臭いガキだった。
教室では誰とも会話しない。目も合わせない。自分はここにいない存在だと、自身に言い聞かせていた気がする。
なんでそんな風にしてたのか、今思うと本当に馬鹿らしい。
家に帰るのが嫌で、いつもじいちゃん家に行っていた。
じいちゃんが大好きで、じいちゃんが死んだら俺も死のうと考えていた。
まあつまり、本物の馬鹿だったんだ。
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