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一体、証と柚子はどんな契約を交わしているのだろう。
初体験がどうこうということは、証は柚子に手を出していないということになる。
だが、うなじにキスマークがついていたりと、全く何もしていない訳ではないようだ。
五十嵐は数日前の証の様子を思い返した。
柚子と喧嘩したらしい次の日、証はこれ以上はないというほど機嫌が悪く、些細なことで五十嵐にきつく当たった。
だが次の日、前日の苛立った様子が嘘のように機嫌がよかった。
仲直りをしたのだな、とその時は思っただけだったが、もしかしたらあの日の夜、証は柚子を抱いたのかもしれない……。
そう思った瞬間、五十嵐は無意識に部屋を飛び出していた。
そのまま真っ直ぐに柚子の元へ向かう。
コーヒーを淹れていた柚子は、息を切らしてやってきた五十嵐を驚いたように見上げた。
「………どうかしました?」
「え………」
五十嵐は虚を衝かれたように黙り込んだ。
本当に、一体どうしたというのだろう……。
「えっと、その……」
思わず五十嵐は拳を口元に当てる。
柚子の顔を見た途端、頭が真っ白になってしまった。
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