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「諸君には、これからの3年間で人を殺す100通りの方法と、国を滅ぼす100通りの方法を覚えてもらう」
初めての授業は担任のその言葉で始まった。月岡鬼斎(つきおかきさい)の左手は金属のパーツがむきだしになった義手だった。南方の戦線で榴弾(りゅうだん)の破片を受けて、つけ根から失ったという噂(うわさ)だった。
普通はシリコンの肌をつけて違和感を和(やわ)らげるものだが、この教官にはそんな意識はないらしい。くすんだステンレスの指先が、蛍光灯に鈍く光っている。
「たとえばここにある新聞だ」
月岡先生が教壇から朝刊をとりあげた。
「この新聞でも、すくなくとも3通りの方法で人を殺すことができる」
冷たい目で息を呑んで硬直している40人の生徒を見まわした。
(こっちにこないでくれ)
逆島断雄(さかしまたつお)はあわてて目を伏せた。
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