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『月がとっても青いから
遠回りして帰ろ』
幼い頃、父がよく口ずさんでいた歌だった。
最も、父が子供の頃に父親がよく歌っていた歌らしい。
古きよき、昭和の名曲なんだそうだ。
小さかった私は『青い月』の意味がわからなくて、そんな月が本当にあるのかと父に尋ねたことがある。
すると父は、月は季節ごとに違う顔を見せるから折りを見て夜空を眺めてごらんと言った。
青い月の正体を知りたくて、それから私は時間があれば空を見上げるようになった。
でも、年を重ねるごとに夜空を眺める心の余裕もなくなって、いつしか私は父の言葉を思い出すこともなくなっていた。
青い月の正体は、今もわからないまま……
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