755人が本棚に入れています
本棚に追加
サイドボードに飾られた、私と和人の20年前の結婚写真。
それをぼんやりと見つめながら、由紀子は悲しそうに呟く。
「…するいよ…麻里子…。
和人さんの心を永遠に一人占めなんて…
やっぱり麻里子は、ずるい」
「由紀子…」
静かなリビングの中には、嗚咽を漏らす由紀子の声だけが響いている。
「由紀子…今まで…気づいてあげれなくて…ごめんなさい…。
だけど…和人だけは渡せない。
私は和人じゃなきゃダメなの。
彼がいなくなったら…
私はきっと…生きて行けない」
そう答えた時、瞳を覆っていた由紀子の手がゆっくりと離れて行くと、彼女は衝撃的な言葉を吐き出した。
「なんで麻里子が…
……死ななきゃならなかったの?」
最初のコメントを投稿しよう!