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慌てて由紀子の後を追う。
住宅街を抜けた先、私が背中の痛みを感じたあの場所に、ぼんやりと佇んでいる由紀子の姿。
その足元には…
…たくさんの菊の花束が手向けてあった。
月明かりに照らされたその歩道の隅には、細かいガラスの破片と…
大きな傷跡が残された電信柱。
そして花束の下には…黒ずんだ血の跡がくっきりと浮かび上がっていた…。
それを見つめながら、ようやく私は自分の最期を理解する。
思い出してみれば、あの背中に強烈な痛みを感じる前に車のスリップするような音が聞こえた気がした…。
そうだ…。
…私は…
ここで死んだのだ…。
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