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「だって麻里子は、後ろの花時計に負けないくらい可愛いだろう?」 「結婚して20年も経つのに、奥さんを可愛い可愛いって連呼するのお前くらいだな」 和人と同じように小さく笑った工藤さんは、お線香を1本立てて手を合わせる。 漂って来るお線香の香りが、私の心を静めて行くようで。 さっきまで叫びたくてたまらなかった気持ちが落ち着いて行く。 自分の死を受け入れなさいと、その煙が導いてくれたような気がした。 「麻里子…お前は幸せだったか?」 祭壇に向かってそう呟いた、和人の背中が涙でぼやけて行く。 こんなにも私を愛してくれていた和人に、死んでから気づくなんて私はどれほどバカなのだろう。
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