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その時、泣いていた和人がピタリと揺れていた背中を止めた。 ゆっくりと振り返った和人の瞳が、じっと私を見つめる。 まるで私の姿が見えているかのように。 「和人?どうした?」 問いかけた工藤さんに和人は、しばし黙ったまま瞳を動かさない。 「和人…私が見えるの…?」 ポツリと問いかけた言葉に、和人は静かに目を伏せた。 「いや…なんだかここに麻里子がいたような気がしてさ…」 和人の言葉に、工藤さんは彼の肩をもう一度叩いた。
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