星に願いを

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「…………ブルガリブラック」 証の呟いた言葉がよく聞き取れず、柚子は黙って眉をひそめた。 証はゆっくりと腕を組む。 「スーパーしか行かなかったお前に、なんでそんな男物の香水の匂いが染み付いてんだ」 「………………!」 柚子はギクッと大きく体を震わせた。   不快に感じたあの甘い香り。 あの香りがまさか自分に染み付き、それを証に言い当てられるなんて。 「…………あ、あの……」 柚子の体が小刻みに震えだす。 証は逸らすことなく柚子の顔を見据えた。 「……甘ったるい匂いさせやがって」 「………………」 「──── 言え。誰と会ってた?」 柚子は観念して目を閉じた。 黙っていられることなら黙っていたかった。 だが、今の証にごまかしはきかないことは柚子が一番よくわかっていた。 しばらくの逡巡の後、柚子はためらいがちに口を開いた。 「………あの、パーティーで会った、是枝って人……」 証は大きく目を見張る。 「………是枝……だと……?」  
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