星に願いを

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柚子はゆっくりと頷いた。 「買い物が終わってスーパーを出たら何故かあの人がいて……それであの人の車に乗って、少しだけ話したの……」 「…………………!?」 証は信じられない思いで柚子の顔を見つめた。 「………お前、あいつの車に乗ったのか……!?」 「………ごめんなさい! ただ、証のことで話があるって言われてテンパっちゃって……。気が付いたら無理やり車に乗せられてたっていうか……」 「…………………」 証の胸に激しい憤りが沸き起こっていた。 柚子に会いにきた是枝にも。 また、是枝が女癖が悪いと知りつつその男の車に乗ってしまう柚子の無防備さにも。 証は爪が食い込むほど強く拳を握りしめた。 「………で、話って何だったんだよ」 「え………」 柚子は証の静かな怒りを肌で感じながら、脅えたように口を開いた。 「………よく、わかんない。話の途中で私も逃げてきちゃったから……」 『罪滅ぼし』 是枝の言葉が不意に頭をよぎる。 証に聞いてみようかと思ったが、何故か聞いてしまうことに恐れのようなものを感じている自分がいた。
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