星に願いを

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「まあ、そういう恰好も可愛いけど」 「…………話って何ですか」 是枝のチャラさに辟易して、柚子は声色を厳しくした。 是枝はハンドルに手をついて、ニッと笑った。 「成瀬と一緒に暮らしてるんだね」 「………………」 「驚いた。本当に婚約者だったんだ」 「………………」 (…………それは違うけど) 柚子は心の中で否定する。 だが何も親切にこの男に真実を話してやる必要もない。 柚子は何も答えず、ただ是枝の顔を睨み据えていた。 だがそんな視線も是枝は意に介さない様子だった。 興味深げに柚子の顔を眺めている。 「なんか柚子ちゃんに色々興味沸いちゃってさ。ちょっと調べちゃった」 「……………は?」 「成瀬を惚れさせたってだけでもなかなか興味深いんだけど、鷺ノ森に幼稚園だけ通ってたっていう経歴も気になってさ」 「…………………」 (…………暇な奴) 呆れて柚子は目の前の是枝の顔を眺めた。 恐らく大学生なのだろうが、他にもっとやることはないのだろうか。 「あ、今こいつ暇な奴だなーって思ったでしょ」 「………………!」 「当たりー。最近何にも面白いことがなくてさ。飽き飽きしてたんだよね。……そしたらあの夜、思いがけない再会があったから」 柚子はふっと軽く吐息した。 「それは残念でしたね。調べたって私の経歴なんて面白くも何ともなかったでしょ。鷺ノ森に幼稚園しか通わなかったのは父の会社の経営が傾いたから、ただそれだけよ」 すると是枝は意味ありげにニヤリと笑った。 「………そんなことないよ。柚子ちゃんの過去、面白かったよ?」  
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