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柚子は顔をしかめた。
私の過去が、面白い……?
「………そりゃ、あなたみたいなエリート一家の人から見たら、私ん家の零落っぷりはドラマ見てるみたいで楽しいんでしょうね」
ムカムカしながら皮肉っぽくそう言うと、是枝は苦笑した。
「そんな意味じゃないよ」
直後、是枝はゆっくりと体ごと柚子に向き直った。
柚子は警戒してドアに背中をつける。
「……柚子ちゃんさ。なんで成瀬と結婚しようと思ったの?」
「え?」
「あんな冷血人間とさ。……やっぱり金目当て?」
「………………」
柚子はキッと是枝を睨み付けた。
「………証は、冷血人間なんかじゃないわ」
きっぱりそう言い切ると、是枝の顔から笑みが消えた。
代わりに興味深そうに柚子の顔を見つめる。
柚子はぎゅっと手にしていた笹の枝を握りしめた。
「……そりゃ、偉そうだし自信家だし、ドSだし、我が儘だし子供っぽいけど、でも……」
柚子は小さく目を伏せた。
「………でも、優しい人よ」
それは柚子の本心から出た言葉だった。
この三ヶ月、証と共に生活してきてわかってきたこと。
それは、証は基本は優しい人だということだ。
確かに気分屋ですぐに怒るが、柚子が風邪で倒れた時は介抱してくれ、鬼龍院 小春に追い出された時は迎えに来てくれた。
不器用で本当にわかりにくい優しさではあるが、決して冷血人間なんかではない。
柚子が口先だけで言っているのではないことがわかり、是枝はふーんと言って素直に驚いた顔を見せた。
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